意外と理解されていない坐骨神経痛(Sciatica)
今回は、皆さんも良く耳にしていると思います、坐骨神経痛についてご説明していきたいと思います。まず、坐骨神経痛とは、腰から足にかけて痛みや痺れが出ている際に診断されやすい大きく分類した総称であり原因ではありません。その原因が何かがとてもとても重要なのです。
【レントゲンだけでは、坐骨神経痛の原因はわかりません】
坐骨神経痛と診断される主な原因(一般的な要因)
1 ヘルニア:椎間板内の髄核が外に飛び出し神経を圧迫するといわれています
【参考】腰椎椎間板ヘルニアとは?症状・原因解説
こちらに詳しく解説していますので是非ご一読ください。椎間板ヘルニアの場合、保存療法で改善が望めるケースが多いので手術を決断する前に今一度、保存療法をご検討ください。
2 脊柱管狭窄症
人間の背骨には、脳から続く神経である脊髄(お水)が通る管があります。この通り道を脊柱管と呼びます。脊柱管狭窄症とは、骨や靭帯の肥厚、椎間板の突出などで、脊柱管が狭くなり、脊髄が圧迫され、お尻の痛みや太もも・ふくらはぎ・足首・足の裏の痛みやしびれなどの症状を起こすと言われています。加齢により骨や靭帯などが変性して起こることが多く、50代以降の男女に多くみられます。長い時間歩くと症状がひどくなり、中には5分・10分しか歩けず、しばらく休むとまた歩けるようになる、「間欠跛行(かんけつはこう)」が代表的な症状です。脊柱管狭窄症は、ヘルニアと違い進行性の症状のため、脊柱管狭窄症が本当の原因の場合、手術(オペ)が必要になるケースも多いかもしれません。
3 腰椎すべり症・腰椎分離すべり症
腰椎すべり症は、5つに縦に並んでいる腰椎が前方に飛び出すことで神経を圧迫すると考えられています。すべり症が本当の原因で坐骨神経痛を引き起こしているケースは少ないと考えます。
【参考】腰椎分離すべり症・症状解説
※このページで使用している本当の原因とは、病院で診断されているけれどもその症状の原因ではない可能性が高いという意味です。
4 梨状筋症候群:お尻の深いところにある梨状筋が坐骨神経を圧迫します
お尻の筋肉が硬くなり(緊張)、坐骨神経を圧迫しているケースです。人間のお尻の筋肉は、実はとてもとても酷使されています。立っているときにお尻を触ってみて下さい。とても硬くなっているのがお分かりかとおもいます。座っているときは、お尻は潰されいつも圧迫していますね。デスクワークを1日8時間・10時間もされていれば、どれだけお尻に負担が掛かっているでしょうか?また、男性であれば小便をするさいも非常に硬くなっているのが分かります。お尻の筋肉は、身体を支え、骨盤(内臓)を支え、人体の要といっても良いかもしれないお部位です。
症状
簡単に説明すると腰から足までにかけての痛みの神経の親玉は、坐骨神経です。このラインに痛みや痺れ・違和感がある時に坐骨神経痛ですねと診断をされます。よく出現する部位は、お尻(臀部)太ももの外側・ふくらはぎの外側・スネ(前脛骨筋)です。同じ坐骨神経でも太ももの内側やふくらはぎの内側には出現しないケースがほとんどです。この辺りには、何か本質的な原因が隠れていると考えています。
上記の図のライン(腰・お尻・太もも・ふくらはぎ・足首・足)に痛みや痺れが出現します。いわゆる坐骨神経痛と言われる症状の原因の一つです。坐骨神経痛とは、症状名であって原因ではありません。上記ラインに痛みや痺れではなく、麻痺や場合、膀胱障害(頻尿・多尿その他)を起こしている場合は、早急に医療機関へご相談下さい。
当院で考える坐骨神経痛(原因は別であるかもしれないが)症状をレベル
※ヘルニアページのレベルと同じです。
トップレベル 筋力低下・感覚異常・拍動減弱・膀胱直腸障害がある
LV5 歩けないほど、もしくは数歩しか歩けない程、お尻からふくらはぎにかけての部分に痛む箇所がある。また、夜間も眠れない程痛む。生活にも支障をきたします。(痺れも含む)
LV4 歩けないほどではないが、お尻からふくらはぎにかけてに痛む箇所があり、痛む時間帯も多い。(痺れも含む)生活・お仕事に支障をきたします。
LV3 長時間、座っている、立っているとお尻からふくらはぎにかけてに痛む箇所がある。(痺れも含む)
LV2 ランダム(いつ出るのかがわからない)にお尻からふくらはぎにかけて痛むことがある。(痺れも含む)
LV1 時々、お尻からふくらはぎにかけて違和感が出る。(痺れも含む)
※上記は、ヘルニアが必ず原因であるという意味ではありません。LV5の方は、急性期症状(痛みが出たばかり)ですと本当に痛いし辛いです。しかし、本当に手術が必要かというと別問題です。
一般的な治療方法(医療機関)
まず、保存療法と手術療法に大きく分けられます。保存療法とは、手術をしないで生活習慣を改善したり、薬・リハビリを生活に取り入れて治す方法を言います。もしあなたのその坐骨神経痛の原因を調べていないもしくは、伝えられていない場合はしっかりとお伺いを立てたほうが良いかと思います。原因がわからないまま、下記の治療をしているケースも多いかもしれません。
【保存療法】※医療機関での保存療法
- 投薬療法:消炎鎮痛剤(ロキソニンやリリカカプセル)やシップを処方されることが多いですね。鎮痛剤も効果や副作用に違いがありますのでお医者さんによく伺ってください
- リハビリ療法:牽引機(欧米では10年以上前から使用されていないそうです)。干渉波/低周波(ヘルニアと診断されるほどの症状には効果をきたいするのは難しいかもしれません)マイクロ波(深部を温める機器/温めること自体は良い事ですが・・・)ウォーターベッド(全身の血流が良くなるのは良い事ですが・・・)コルセットを装着し、安静など。原因がわからないで牽引をしているケースは多いですね。
- 神経ブロック注射:ブロック注射も実は、種類があります。下記の参考を読んでいただければわかるかと思いますが、一般的にその場で出来るブロック注射は、おそらく硬膜外ブロック注射です。その痛みの原因がヘルニアの場合は、神経根ブロック注射の方が効果が高いかもしれません。そのあたりも打つ前には、しっかり聞くようにすると良いかと思います(【参考】ブロック注射って効果あるの!?)。
整骨院で実際に診られる坐骨神経痛の原因
1 姿勢不良による筋性・関節性の要因
人間の身体は、ほとんど左右対称ではありません。出来る事ならば49:51位の比率にしたいところですが日常生活・仕事上の習慣などなかなかそうもいきません。日常生活により身体が受け続けている負担は、想像を絶するものであり、急に痛くなったという方が多いですが、急に症状が起きるわけではありません。日頃から身体のメンテナンスをおすすめいたします。
【参考】姿勢を正す本当の理由
2 仙腸関節機能障害:骨盤にある関節の不具合により坐骨神経に悪さをします
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いまや、腰痛や坐骨神経痛の診断・治療に欠かせない要因です。仙腸関節により坐骨神経痛を引き起こしているケースもとても多いです。軽度から中度の場合、仙腸関節の調整により症状がその場で改善する事も少なくありません。
【参考】仙腸関節性の坐骨神経痛の症例と口コミ
3 トリガーポイント(筋肉の評価)
トリガーポイントとは、圧に対する感度が局所的に高い、過刺激性のポイントで、身体の他の部位に症状(通常は疼痛)を引き起こします。トリガーポイントは、筋肉、筋膜、骨膜、靭帯、皮膚などの身体の軟部組織に存在することが多いと言われています。一般的には、潜在性と活動性のトリガーポイントに分類され、潜在性は、圧迫されない限り局所的な痛みや関連痛を引き起こさないのに対し、活動性トリガーポイントは圧迫されなくても局所的な痛みや関連痛を引き起こします。どこも痛くなくても潜在性トリガーポイントがある場合が殆どですので活動性に変わらない様に日常的に身体のケアをしていく事をお勧めします。
坐骨神経痛の場合は、中殿筋・小殿筋・大殿筋・梨状筋にトリガーポイントが形成されているケースがとても多いです。この評価は、欠かせません。
4 交感神経の評価と施術
長く患てっいる、痛みや痺れに悩まされている事によってもストレスとなり自律神経が乱れてしまいます。自律神経の調整をするだけでも身体の反応は変化してきます。
主にこの4点をしっかりと施術して改善が見られない際は、医療機関や整形外科での精密検査をおすすめします。当院でも尊敬する方々もまずは、この4つが重要かつ筋肉による原因が90%だと言っています。筋肉といってもただマッサージすれば良いという事ではありません。治療とマッサージでは、中身が全く違うので皆さんも勘違いしないでくださいね。
5 その他 血流障害など内科的要因
なかなか症状が改善しない坐骨神経痛の場合、血管の問題も大いにあると考えますが、日本ではなかなかそこまで取り扱ってくれてないのが現状です。アメリカでは、ふくらはぎに神経痛がある場合、まずは循環器内科で血管的な要因も考えるそうです。
よくあるお話
坐骨神経痛の原因を知ることが一番大事ですが、ヘルニアの場合、健常者の方の方がヘルニアが多いというデータが実際にあります。
また、手術は成功したのに、症状は変わらなかったという方も多くいらっしゃいます。一概に検査を受けてヘルニアだと言われてもすぐに手術には踏み切らず、手術する前に必ず一度は、我々民間療法に委ねてみてください。治療をさせて頂いている中で、本当に腰に原因があり症状が出ている方は、あまり多くない様に感じます。
「坐骨神経痛の原因が、ヘルニア以外の場合がある」を裏付ける私の実際のMRI画像
【参考】ヘルニア・狭窄症と診断された私の腰のMRI画像
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H29.9月、自分の腰の状態を一度くらいみてみようと、MRIを撮影していただきました。
すると・・・
ヘルニアと脊柱管狭窄症の診断・・・
なにも症状がない私が、まさか自分がこのような診断を受けるとは夢にも思いませんでした。しかしこれまで説明してきたことに信頼性が増し患者さんを励ませる材料となりました。
やはり坐骨神経痛の原因はヘルニア以外?
本当の原因は別のところに隠れているかもしれません。